今回は、これまで約7,800人の若者の背中を押し、海外留学を支援してきた「トビタテ!留学JAPAN」のプロジェクトマネージャー、荒畦(あらうね)さんにお話を伺いました。
気になる選考内容や倍率から、コロナ禍、そして今後の留学についてのアドバイスまで、留学に興味のあるすべての方にお届けします♪
コロナ禍で、留学を悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてくださいね!
Q.トビタテ!留学JAPANとは?
トビタテとは、「トビタテ!留学JAPAN」という、2013年から始まった文部科学省主催の留学促進キャンペーンになります。
キャンペーンなので、文部科学省による留学もそうですし、大学、もしくは民間の財団が主催するもの含めて、留学生を倍増するための機運を高めていこうというキャンペーンの名前が、「トビタテ!留学JAPAN」です。
正式には、キャンペーンのひとつとして、自分たちがやるオリジナルのフラッグシッププラグラムというものが、「日本代表プログラム」というものになります。
たとえば、「トビタテ!留学JAPAN」は、この日本代表プログラムだけではなく、大学、高校、SGUやSGHなど、文科省がやってる施策だったり、学校が取り組んでいるものも全て含めて、留学の機運を高めていこうというのが、「トビタテ留学!JAPAN」になります。
Q.トビタテ!留学JAPANの対象者・必要条件とは?
フラッグシップの日本代表プログラムには、高校生コースと、大学生コース(大学生等コース)があります。
高校生コースの対象は、高校生・高専生です。
大学生コースは、大学生、大学院生、短大生、専門学校、それから高専生(4年生以上)が対象になっています。
海外進学は支援の対象?
日本代表プログラムでは海外進学は支援の対象外となっています。
ただ、文科省がやっている奨学金のプログラムには、学部進学を支援する奨学金があります。
Q.トビタテ留学生になるための選考内容とは?
それ以外にチェックポイントがあれば、教えていただけますか?
学校の先生や、大学の先生、文科省の方が選考するのではなくて、支援いただいている企業様の人事担当者に書面審査や面接をやっていただくので、就職活動の合同面接会みたいな感じにはなるんですけど。
そんなところが、ひとつ、大きな特徴になります。
逆にいえば、成績とか語学力は不問です。
語学力に関しては、一定の基準というものは設けていませんが、自分が実現したい留学次第です。
世界のトップ大学に行くのに、英語がしゃべれませんっていったら、そもそも受け入れてもらえないので。
自分の留学計画を自分で作れるっていうのがトビタテの良さなんですが、自分の留学計画に必要な英語力は求められます。
かつ、日本代表プログラムの場合には、留学先が120カ国ぐらいあるんですね。
そうすると、英語以外の言語が必要な人たちもたくさんいるので、そういった意味でも、一律の基準は設けていません。
選考は、書面審査と面接
面接は、大学生コースだと個人面接とグループディスカッション。
高校生だと個人面接になります。
それとも2次、3次面接のように複数あるんでしょうか?
個人面接をやった後、同じ日にグループディスカッションがあります。
支援企業の皆様に集まっていただいて、会場にブースを作って、そこで一斉に面接をしていくっていうような感じになるので、非常に面白いというか、ユニークです。
選考の倍率
倍率は、あんまり年によって違わないんです。
ただ大学は年に2回募集しているので、より留学者が多いタイミングのほうが倍率が高いっていうのはあるんですけど…
高校生だと800人に対して、3倍〜4倍くらい。
細かくいうと、高校生コースの中にも、短い留学だったり、長い留学だったり、ボランティア系とか色々と種類あって、そこで倍率が変わってきますが、高校生コースのトータルだと3、4倍くらい。
大学生コースも4倍前後という感じです。
どういう方に応募してほしいですか?
意欲とはなにかというと、「好奇心・情熱・独自性」というところは、さきほどお話した通りです。
どんな方により情報を届けたい?
それから、情報を誰に届けたいのかというと、選考の際に差はありませんが、より情報が届きづらい人ですかね。
そういった意味で、都心と地方では、経済格差・情報格差・意識格差、この3つの格差があると思っているんですけど、やっぱその格差がある人たちにも情報を届けて、機会を提供していきたいなと思っています。
格差でいうと、経済格差をなくすために奨学金をやってるんですが、その情報がそもそも届かない。
さらに情報が届いたとしても、そんな留学なんて遊びでしょとか、まずは勉強に打ち込みなさいとか、部活休めないとか、そういう意識格差みたいな。
この3つが崩れないと、とくに高校生は、なかなか生徒さんが自分で飛び込むっていうよりは、先生とか親から知らされる、もしくは、自分で取ったとしても、まわりの雰囲気から逃れなれなくて許してもらえないとか。
そういうのがあるので、そこら辺の情報格差・意識格差みたいなところも変えていきたいな、というのもあります。
とくにプログラム名が「日本代表プログラム」っていう風についているので、「私は日本代表じゃないなぁ。」って、気後れする人もいると思うんですよね。
わたしも自分が高校生だったら、自分で手を挙げられるかっていうと、なんか若干難しいかなと思うので、そこはやっぱり先生が「お前ちょっと応募してみろ」とか、親御さんが「行ってみたら?」とか。
高校生に聞いても、誰かが背中を押してくれて応募したっていう人は多いですね。
奨学金の種類について
奨学金にも、返済が必要なものやそうでないものがありますが、日本代表プログラムの奨学金はどういうものなのかを教えていただけますか?
そして、奨学金は返済不要の給付型というのが特徴です。
ただほかの奨学金も、留学に関しては給付型のほうが多いと思います。
日本代表プログラムで人気の留学先
通常、留学説明会とかをやると、7、8割が女性です。大学生も、もちろんそうなんですね。
ただ、理系・複合・融合系人材コースっていうのがあるので、男女が約半分です。
産業界からの寄付なので、理系の人材を海外に送り出してくださいっていう意向もあり、大学生は半分が理系コースになっています。
理系は男性が多く、文系は女性が多くなるので、男女比が50/50なのは、まったく調整はしてないです。
なので高校生に関しては、世の中の平均と同じく男性が少ないと。
ただ高校生でも、プログラミング留学があるプロフェッショナルコースだけは、男子が多いですね。
個人的に気になるアジア留学について
最近はフィリピン留学とか、欧米よりも安く行けて、英語も学べるアジア留学が人気と聞きますがいかがでしょう?
盛り上がってきています。
ただ、全体の数でいうと、さっきの分布を見ていただければ分かるんですが、高校生はまだ圧倒的にまだ欧米圏が人気です。
ただ一方で、盛り上がっているところでいうと、まさに先ほどのマレーシアは、民間の企業さんも非常に力を入れていまして、実際にそこに行った学生たちが、しっかり成長して帰ってきている実績もでき始めました。
また、かなり発信力がある子がマレーシアに行ったので、その後、数珠つなぎでマレーシアに海外進学をする子たちがトビタテから続出しています。
個人的にも、高校生たちを支援する活動をする中で、マレーシアは英語がしゃべれる、あと、多文化。
かつ、行こうと思えば2年間マレーシアの大学に行って、その後欧米の大学に編入することも可能です。
そういうふうに、学位を最終的に取るときはマレーシアではないほかの国で、みたいなこともできるっていうことで、かなりマレーシアは注目されてるかなぁという気はしますね。
フィリピン留学はやっぱり語学が多分メインなのと、日本代表プログラムでもフィリピンに行くっていう子はいますが、語学っていうよりボランティアが多いイメージです。
これは、私個人的にはすごくもったいないと思っています。
それこそ清華大学などは、学校によってはコンピューターサイエンス世界一ってランキングになっていたりとか、欧米からもかなり留学生が来てます。
かつ近くて、奨学金もあります。
なんですけど、やっぱりイメージっていうんですか、そういうのがあって、行く人が少ないんですけど、行った子たちは非常によかったっていうのを聞きますね。
しかもトップレベルなんで、そういうところは学びの場っていうところでいうと、非常に良いかなと。
日本代表プログラムのコロナ後の動向は?
トビタテの日本代表プログラムの奨学金がどうなるかっていうのは、なかなか具体的にお話できないところではあるんですけども…。
オンラインでのコミュニケーションというか、プログラムみたいなものは広がっていくし、それは非常にいいことだなぁと思ってます。
見直されるリアルな留学の価値
オンラインの学修と実際に行く留学と、どっちがいいの?とうい話ではなくて、どっちにもメリット・デメリットがあるというのが、見えてきてるんじゃないかなっていう気がします。
逆にオンラインが出てきて、今は海外に行けないからこそ、リアルで現地に留学をすることの価値みたいなものが、より見直されていると。
「本当にリアルで行かないと、実現できなかったことってなんなんだろう?」って。
知識を学ぶのは、オンラインでもできますが、深い人間関係とか、あとはもう、香りとかですね。湿気とか、気候とか、あと食べ物。
あとは偶然の出会いを通じて、一生の友になるといった経験は、なかなかオンラインでは難しいですよね。
オンライン自体も、どんどんバーチャルリアリティーですとか発達はしていくとは思うものの、やっぱりリアルの良さっていうのは引き続きそこにあるので、早くリアルな留学ができるようになったらいいなと思います。
オンライン学修のメリット
知識を学ぶとか、学位を取得するとか、それは昔からMOOCとかありましたけど、学びの環境としてはそれが急速に広まったので、より多様な学びができるような環境になってきています。
留学前のステップとして活用
あとは、留学を考えるとき、どうしても語学を勉強して、つぎのステップとして、いきなり海外に行かざるを得なかったんですね。
ホームステイで体験するとか、国内のサマーキャンプみたいなものはあったんですけど、ホップ・ステップみたいなのがなくて、いっきにどーんと飛んでしまうところに、ハードルがありました。
でもそこに、オンライン学修みたいなものが間に入ると、金銭的にも比較的負荷が少ないですし。
留学の動機づけに
また、動機づけという意味でも、オンラインで会うと、つぎは直接ぜひ会たいなってなるじゃないですか?
なのでどんなに説明会で、留学いいよと話すより、ちょっとオンラインで海外のこと話せますよという機会がどんどん増えると、留学に興味を持つ人は増えてくるんだろうなと思います。
オンラインを活用して留学の質を高める
これはまさにハイブリッドというか、リアルな留学とオンラインでの学修、両方で盛り上がっていくといいなとわたし達は考えています。
留学機運を高めていったり、実際の留学の前にオンラインで勉強して、リアルの留学の質を高めるといった形で、オンラインの良さをうまく活用していきたいですね。
これからの留学を考えている方々へひとこと
コロナという状況なので、どういう言葉をかけていいのか、すごく悩むというのが正直なところではあるんですけども…
アフターコロナ、ウィズコロナ、どうなるかまだ見通しがつきませんが、もし行けるのであれば、このコロナっていう世の中が激変するタイミングに海外を見る経験って、それこそ100年に1度くらいのタイミングです。
20代までに3回留学!
あとは、「高校のときに行ったほうがいいんですか?大学のときに行ったほうがいいんですか?」っていうような留学についての質問もよくされるんですが、できるなら両方行ったほうがいいです。
その3回っていうのは、主に3パターンあって、さきほど言ったホップ・ステップ・ジャンプみたいな、短期、中期、長期という3回でもありますし、違う国に行く、それから同じ国・年を定期的に訪れるというのもありです。
アメリカに行った後にヨーロッパ行って、アジア行って…そういう形で違う文化圏を見るという楽しみもあります。
あとは、世の中は非常速いスピードで変化しているので、以前訪れた都市も、まったく変わっているということも珍しくありません。
そういう意味では、定期的に同じ所を訪問するのも価値があるといえます。
日本の当たり前を疑える視点
高校の時じゃなきゃいけない、大学の時じゃなきゃいけないということではなくて、もうちょっと気軽に海外を見る機会とか、いろんな観点で海外に触れてみるっていうことが、自分たちの視野とか価値観を広げることに繋がります。
仮に今回、このタイミングでできなかったとしても、社会人になって、大学生になって、コロナが明けてっていうタイミングでも遅くありません。
語学はもちろんあるかとは思うんですけど、日本は島国でどちらかというと情報鎖国で、海外の情報があまり入ってきませんし、同調圧力も強い。
そんな島国だからこそ、外に出ないと見えない視点っていうか、日本の当たり前を疑える視点っていうのは持てないって思うんですね。
そのためには、どのタイミングでも遅くないので、ぜひ行けるタイミングで海外に飛び立ってもらいたいです。
わたしも、もう一度留学に行きたくなりました(^^)
トリップアテンダントでは、次世代を担う高校生・大学生の方々が世界へ羽ばたく活動を支援したいという想いで、2020年の夏からWebメディア運営での売り上げの一部を「トビタテ!留学JAPAN」様に寄付させていただいております。
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