「飛行機って、急に揺れるのが怖い!」
「エアポケットに入ったら、大変なことになるって聞いたことがあるんだけど・・・」
ただでさえ大きな金属の塊が空の上を飛ぶということだけでも、なんだか信用できなくて不安なのに、乗っている時に大きく揺れたりなんかしたら、もう本当に恐怖しかありませんよね?
今回は十数年CAとして飛行機に乗務し、何度も揺れに遭遇してきたKonokaが、飛行機の揺れの1つである「エアポケット」に備えて機内でやっておくといいことや、「エアポケット」に遭遇してしまった場合の対処の仕方について解説します。
目次
エアポケットとは
エアポケットとは、局地的な下降気流が原因で、飛行中の航空機が急激に下降する空域のことをさします。
飛行機に乗っていて、天気が悪いわけでもないのに、一瞬ジェットコースターに乗ったかのような無重力を感じるような揺れに遭遇したことはありますか?
今までスムーズに飛行していたのに、急にスポッと空の『ポケット』に入ってしまったような感覚になることから『エアポケット』という言葉が生まれたようです。
実は、この『エアポケット』という言葉は正式名称ではなく、正式には『晴天乱気流』というのですが、今回はこの馴染みのある『エアポケット』という言葉を使うことにしますね。
エアポケットは目に見えず、レーダーでもとらえられないので、予測することができず、このエリアに飛行機が入ってしまった場合は突如として大きな揺れに遭遇することになります。
エアポケットに入った飛行機で起こること
航行中の飛行機が急にエアポケットに入ってしまうと、機内では大変なことが起こります。
ちょっとイメージしてみてください・・・
スムーズに航行している機内では、シートベルト着用のサインが消灯し、お飲み物やお食事のサービスが行われ、お客様も思い思いに過ごしています。お手洗いに立っている人がいたり、手荷物の中からスナックを取り出す人もいるでしょう。
そんな中、突然飛行機がエアポケットに入り、一気に高度が下がり、一瞬の無重力状態に・・・・
テーブルの上のカップ、きちんと収納されていなかった手荷物は宙に舞い、お飲み物のサービスに使用していたカートだけでなく、シートベルトをしていなかったお客様やCAも天井まで吹っ飛び、頭をぶつけることがあります。
・・・怖いですよね(>_<)
どんな時に起こるのか?
さて、このエアポケットは、まったく予期できないわけではありません。
高い高度に吹く『ジェット気流』と呼ばれる風の流れや、富士山から吹き下ろす『山岳波』などは、目に見えずレーダーにも映りませんが、パイロットの長年の経験や勘と、風の解析技術が進歩したおかげで、『揺れそうな場所』はなんとなく予想できることもあります。
エアポケットがどんな時に起こるのか、完璧にわからないのであれば、それに備えるしかありませんよね?
お次は、エアポケットにどのように備えるのかを紹介します。
エアポケットに備える
「エアポケットに遭遇することを考えたら怖くて、ゆっくりできない(^^;)」
「万が一、エアポケットに遭遇しても怪我をしないようにするには、どうすればいいの?」
次はこのようなお悩みを解決していきましょう!
手荷物の整理・整頓する
飛行機の離着陸時は、手荷物を前の座席の下にきっちりと収納することを求められるかと思いますが、できれば航行中もその状態をキープしておきましょう。
メガネや携帯電話、ペットボトルなどはテーブルの上に置いておくのではなく、シートポケットなどの収納場所に入れておくことをお勧めします。
基本的にエアポケットに入った場合は、ものが浮きますので、テーブルにある物は自分の顔に向かって飛んでくる可能性が高いです・・・
身の回りを常に片付けておけば、何かが飛んでしまう危険を防げます。
シートベルトは常時着用する
シートベルト着用のサインが消灯したら、多くの方はシートベルトを外してしまいますが、それは間違いです。
何度も言いますが、エアポケットに入るのは突然です。
お手洗いに立つ場合以外、座席にいるときは常にシートベルトをしておきましょう。寝ているときは、とくにシートベルトを忘れずに。
お子さまのシートベルトは、保護者の方がしっかりと管理してくださいね。
掴まれる場所を確認する
飛行機に乗ったらまず、最寄りの非常口とともに「掴まれる場所」を確認しておきましょう。
- 飛行機のドアの横にあるハンドル
- 通路側の座席のアームレスト(もしくはフットステップ)
- トイレやキッチンの中にあるハンドル
- 機体の構造物(掴まりやすそうなところ)
エアポケットに入ってしまった場合の対処法
万が一、エアポケットに入ってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?
一瞬のことなので、すぐに対処するのは難しいかもしれませんが、とっさにできる対処法をシーンごとにご紹介します。
座席にいる場合の対処法
座席に座っている場合は、シートベルトを緩みのないようにしっかりと締めてください。
シートベルトさえ締めていれば、飛び上がってしまうことはありません。
エアポケットに入った瞬間に、固定されていないものは機内に散乱することが予想されます。
何が飛んでくるのかわからないので、手荷物やシートポケットの中の雑誌、毛布やクッションを使って頭を守ってください。
お子さま連れの場合は、お子様をすぐに抱っこするか、シートベルトをしっかりと確認してあげてくださいね!
通路やトイレにいる場合の対処法
まずは身を低くします。
そして機体の構造物に掴まりましょう。
機体の構造物とは、先ほども確認したドアのそばにあるハンドルや、座席のアームレスト・フットステップなどのことです。アームレストに掴まる場合は、上から掴むのではなく、アームレストを下から抱えるようにして掴まります。
近くに空席がある場合は、そこに着席してシートベルトをしてもいいですね!
トイレの中にいる場合は無理にトイレから出ようとせず、ひとまず身を低くして近くのハンドルに掴まり、揺れが落ち着いてから慌てずにトイレから脱出してください。
飛行機は昔より揺れない
飛行機は昔より揺れなくなったと言われています。
それは、風を読む技術の進歩や飛行機がハイテク化されたことが大きい要因の1つでしょう。
またフライトの前には、ディスパッチャーと呼ばれる、空の状態を把握して管理している人たちとパイロットが綿密な打ち合わせをし、安全・快適、そして時間通りに目的地に到着できる最善の策を考えたりもしているんですよ!
パイロット同士の情報交換
空の状態は、常にパイロット達によって情報交換されています。
もちろんフライトの前には風の強さや向き、雲の位置などを表した資料などを使って、あらかじめ揺れにくい場所を選んだり、先行機からの情報を参考にしたりして、なるべく揺れないように飛行ルートが計画されています。
どうしても揺れそうな場合も、あらかじめ「離陸後○分から10分間、揺れそうなエリアを通過します」などという情報が、CAにも事前に知らされるため、その時間までにカートを収納するなど、揺れに対する対策を事前に講じることができます。
技術の進歩
近年飛行機の揺れに対する対策は研究が進んでおり、目に見えずレーダーにも映らないエアポケットの起こりそうな場所を、約70秒前に検知するシステムが開発され、実用に向けての検証がなされているようです。
実際にこのシステムが航空機に搭載されるには、もうしばらく時間が必要かもしれませんが、将来的にはますます飛行機の安全性が高くなることでしょう。
まとめ
エアポケットは飛行機にとって脅威ですが、あらかじめ対策を講じておくことで、何かあった時に落ち着いて行動できるのではないでしょうか。
飛行機に乗った際は、「常時シートベルトを締めておくこと」が何よりも大切ですので、忘れないでくださいね!
今はまだ目に見えず、レーダーにも映らないエアポケットに対しては、パイロットの経験や勘がとても重要です。
しかし飛行機はどんどんハイテク化されているので、近い未来に、まったく揺れない飛行機も開発されるかもしれません。そんな日がくるのが楽しみですね♪
飛行機の揺れに何度遭遇したかわからないくらい、飛行機に乗ってきました。元CAのKonokaです!