国際線は液体の機内持ち込みの規制が厳しいことは知っていても、「液状のものなんて手荷物に入っていないから大丈夫!」と、安心している方も多いのではないでしょうか?
でもちょっと待ってください!
液体といっても、実は、一見液体に見えないようなものも規制の対象に含まれているのです。
大丈夫だと思っていたらまさかの没収・・・ということも珍しくありません。
- 【入門編】これだけは知っておくべき!「液体の機内持ち込み」についての基礎知識
- 【応用編】例外扱いの液体を機内に持ち込む方法
- 【上級編】出国手続き後に買った液体の機内持ち込み
それではご説明していきます!
目次
【入門編】液体の機内持ち込みについての基礎知識
まずは入門編として、【液体の機内持ち込みについての基礎知識】からお話しします!
機内に持ち込める量には制限がありますが、ルールを守れば問題なく保安検査を通過できます。
「長時間フライトの乾燥対策に保湿クリームは欠かせないし、機内でコンタクトレンズも外したい…でもどれも液体ばかり!」と、心配しなくても大丈夫です!
具体的にどのようなアイテムが液体とみなされるのかは、のちほど細かく説明しますが、まずは液体を機内に持ち込むための基本的なルールから見ていきましょう。
液体を機内持ち込みする方法
国内線でも飛行機に乗る前には保安検査を通るのに、なぜ国際線の機内持ち込み手荷物ばかりチェックが厳しいといわれるのでしょうか?
その理由は、ずばり、機内に持ち込む液体に対する規制の違いです。
国内線
国内線の機内へは、水やお茶などの飲み物であれば、特別なルールなしで持ち込むことができます。
そのほかの液体は機内に持ち込める量に制限がありますが、保安検査のために透明のプラスチック製袋にいれる必要はありません。
そのため国内線に、液体の機内持ち込み規制が存在することすら、知らない方も多いのではないでしょうか?
国内線に持ち込める液体の量は、次のように制限されています。
- ひとり合計5Lまで持ち込み可能
- アルコール度数70%を超えるものは持ち込み不可
- それぞれの容器の容量は500ml、または500mg以下
- ひとり合計2L、または2kgまで持ち込み可能
ただし飲みかけのペットボトルの飲み物は、保安検査で中身をチェックされるので、あらかじめ検査用のトレイの上に出しておきましょう。
国際線
国内線と違って、国際線の機内に液体を持ち込む場合には厳しいルールがあります。
量の制限だけでなく、パッキングの方法も決められているので、国際線を使用するときは必ず次のルールを守りましょう。
- 液体物はそれぞれ100ml以下の容器に入れる(内容量が100ml以下でも、容器の容量が100mlを超える場合は不可)
- 液体の入った容器は、すべてジッパー付きの透明プラスチック製袋の中に入れる
- 袋のサイズは縦横の合計が40cm以下で、容量1L以下
- ひとり1袋まで持ち込み可能
液体物を入れる透明のプラスチック製袋は空港内で買うこともできますが、当日バタバタしないためにも事前に準備しておきましょう。
100均や無印、ホームセンターなどで機内持ち込み専用の袋が売られています。
もちろん、キッチン用品のジップロックでもサイズさえクリアしていれば大丈夫です。
マチつきのものは、容量が1Lを超えるために基本的には不可となっていますが、容量が1L以下であれば多少マチがついていても問題ありません。
機内に持ち込む化粧品は、試供品を利用しましょう。小分けにする手間やスペースが省けて便利ですよ。
この【国際線の液体持ち込み】の基本ルールを、メンバーのAsumiさんが、わかりやすく動画で解説してくれていますので、復習もかねて、ぜひ確認してみてください(^^)
↓再生ボタンを押すと音が出ますので、音量にご注意くださいね!
機内持ち込みが規制される液体の具体例
液体、液体といっていますが、実は国際線の機内持ち込みで規制されている液体は、水のような液状のものだけではありません。
『え?こんなものも液体なの?!』
と、驚くようなものも規制の対象になることがあるので、この機会にしっかり見直してみましょう。
機内持ち込みに制限のある液体は、次のように定義されています。
- 液状のもの
- ジェル状のもの
- エアゾール(スプレー)
- 容器かから出したときに形状が保てない半液体状のもの
ただこれだけでは、イメージがわきませんよね?
ではどのようなアイテムが液体としてみなされるのか、具体的なアイテムの例をご紹介します。
- ミネラルウォーター
- ジュース
- マヨネーズ
- 練りわさび
- 漬物(カリカリ梅はOK)
- プリン
- ヨーグルト
- ゼリー
- アイスクリーム
- ピーナッツバター
- 化粧水
- 乳液
- シェービングフォーム
- ハンドクリーム
- 香水
- リップグロス
- マスカラ
- リキッドアイライナー
- リキッドファンデーション
- マニキュア
- 美容スプレー
- 練りチーク
- 練り香水
- 歯磨き粉
- ハンドクリーム
- 消臭スプレー
- 虫さされスプレー
- 除菌ジェル
- ヘアジェル
- 救急用塗り薬
- 育毛剤
- 修正液
- 万年筆のインク
こちらの国土国交省のページでさらに詳しいアイテム例が確認できます。
http://www.mlit.go.jp/common/001105372.pdf
マスカラのように、ほとんど液体が入っていないようなものまで規制されるなんて、ビックリしますよね。
保安検査を通過する前に買ったものは、たとえ購入元が空港内の売店であっても規制の対象になるので気をつけましょう!
機内持ち込みできない液体もある
たとえ量の制限を守っていても、危険物とみなされる液体は、機内持ち込みできません。
なかには預け入れ荷物に入れればOKという場合もあるので、パッキングの段階で確認しておきましょう。
- 防水スプレー
- 静電気防止スプレー
※「火気と高温に注意」と書かれていないスプレーのみ
- 漂白剤
- アルコール度数70%を超える酒類
- 催涙スプレー
- 染料スプレー
スプレーの機内持ち込み・預け入れの制限は少し複雑なので、スプレーを持って行かれる方は、以下の記事から確認してくださいね(^^)
【応用編】機内持ち込みの規制を受けない例外液体アイテム
液体物のなかには、例外として機内持ち込みの規制から除外されるアイテムもあります。
保安検査時に申告が必要なものと、特別な申告なしで持ち込めるアイテムにわけて説明していきます。
申告が必要な例外液体アイテム
医薬品や赤ちゃん用の食品類は、保安検査時に申告すれば機内で必要な量を持ち込むことができます。
つまり容器が100ml以上でも、1L以下の透明のプラスチック製袋に入れていなくてもOKです。
申告といっても難しい手続きが必要なわけではなく、ただ検査係員に説明するだけなので安心してくださいね。
保安検査を通るときは、例外アイテムをまとめて中身が見える袋に入れて、あらかじめ検査用のトレイに出しておくとスムーズです。
医薬品
機内で必要な薬などの医薬品も例外アイテムです。
申告時に処方箋を求められる場合もあるので、すぐに見せられるように手荷物に入れておきましょう。
- シロップ状の風邪薬
- 咳止めシロップ
- 熱さまシート
- 糖尿病患者用の食品
- 使い捨てコンタクトレンズ(保存液入り)
- コンタクトレンズの保存液(機内で必要な量のみ)
赤ちゃん用の食品類
赤ちゃんが一緒に飛行機に乗る場合は、赤ちゃん用のベビーフードや飲み物を機内持ち込みの規制を受けずに必要な量を持ち込むことができます。
- ベビーフード
- ベビーミルク
- 粉ミルクを作るための水やお湯
- ベビー用ほうじ茶
- ベビー用ゼリー
- 妊婦さん用の栄養ドリンク
実は、仕事やプライベートで数え切れないほど飛行機に乗っている私が、唯一保安検査で没収されたアイテムが、子供用ストローマグ(160ml)に入れたほうじ茶でした。
海外の空港だったので、お茶が子供に必要な飲み物と理解されなかったのでしょう。
ほかの空港で問題になったことはなかったので理不尽に感じましたが、最終的には保安検査係員の判断にゆだねられます。
たとえば、コンタクトレンズの保存液は医薬品として例外アイテムですが、大きなボトルでは機内で必要な量を超えていると判断されて、検査を通過できな可能性があります。
例外として認められるのは『機内で必要な量のみ』ということを覚えておきましょう。
この応用の例外編も、メンバーのAsumiさんが、わかりやすく動画で解説してくれています(^^)
↓再生ボタンを押すと音が出ますので、音量にご注意くださいね!
申告が不要な例外液体アイテム
特別な申告をせずに、制限なく機内に持ち込める液体物の例外アイテムもあります。
これらは保安検査時に手荷物バッグから取り出す必要もありません。
- ボールペン、万年筆などの筆記用具(万年筆は気圧の変化でインクが漏れやすいので注意)
- ウェットティッシュ
- 紙製の美容パック
- ジェル入りバストアップブラ(着用可)
【上級編】出国手続き後に買った液体の機内持ち込み
保安検査を通過したあとの空港内のエリアは、飛行機のなかと同レベルの安全が確認されたクリーンエリアと呼ばれています。
ここまで来れば、帰りのフライトまで液体のルールのことはキレイさっぱり忘れてしまって大丈夫です!
クリーンエリアで買った飲み物などは、100mlを超えていても機内に問題なく持ち込めます。
『フライトまでの待ち時間や機内用にミネラルウォーターを買っておきたい』という方は、このタイミングで買いましょう。
もちろん免税店の香水やアルコール類も例外ではありません。
ただし乗継便を利用する方は、注意が必要です!
なぜでしょうか?
乗り継ぎ便を利用する方は注意
免税品を購入した方で乗り継ぎ便を利用する方は、乗り継ぎ地で、ふたたび保安検査があるので注意が必要です。
韓国の仁川(インチョン)国際空港のように、飛行機から降りたらすぐに保安検査という空港もあるので、手荷物の液体は着陸前に透明の袋に戻しておきましょう。
悲しいことに、出発空港で買った免税品は、ここで没収される可能性があります。
せっかく買った高い香水やお酒を没収されるなんて、本当に泣きたくなりますよね・・・
そんな悲しい事態を避けるためにも、液体の免税品を乗り継ぎ地で機内に持ち込むルールについて知っておきましょう。
乗り継ぎでも機内持ち込みできる場合もある
最終乗り継ぎ地以外で買った100mlを超える液体類の免税品でも、STEBs(不正開封防止袋)に入っていることを条件に保安検査を通過できる場合があります。
STEBsとは、液体の免税品を密封する特別な透明のビニール袋のことです。
日本でも、成田空港、羽田空港、関西空港、中部空港、福岡空港、仙台空港、千歳空港などの空港がSTEBsを導入していますが、乗り継ぎ先の国や空港がSTEBsに対応しているとは限らないので、購入前に確認が必要です。
またSTEBsは、密封されていないと効力がないので、最終乗り継ぎ地の保安検査がすむまでは、絶対に開けないように気をつけましょう。
乗り継ぎ地でいったんスーツケースを受け取る場合もありますよね。
その場合は、品物をスーツケースに入れて預け入れればいいので、乗り継ぎでも出発国で液体の免税品が問題なく買うことができます。
参考までに、こちらのサイトにSTEBs対応国のリストが載っています。
ただしルールはよく変更するので、乗り継ぎ先の最新ルールは保安係員に確認することをおすすめします。
ANA:STEBs対応国のリスト
お土産を没収から守る2つのポイント
経由地によって持ち込めたり、持ち込めなかったり…なんだかルールが複雑ですよね?
私は客室乗務員として機内の免税品販売も担当してたのですが、恥ずかしながら何年経っても乗り継ぎのお客様への販売するときには頭が混乱していました。
『もう液体のルールはお腹がいっぱい…でもせっかく買ったお土産は没収から守りたい!』という方は、とりあえず次の2点を覚えておきましょう
- 液体の免税品は最終乗り継ぎ空港で買う(これが一番!)
- どうしても出発国で買いたい場合は、免税店のスタッフに問い合わせてから買う
最終乗り継ぎ空港(または機内販売)で買えば、直行便の出発空港で買うのと同じなので途中で没収されるリスクはありません。
でも空港によって免税店の品揃えも違いますし、やっぱり出発国で買いたいという場合もありますよね。
そういうときには、免税店のスタッフに最終目的地と経由地を伝えて、買っても大丈夫かどうかアドバイスをしてもらいましょう。
必要であれば、STEBsに品物とレシートを入れてくれます。
繰り返しになりますが、STEBsは最終乗り継ぎ地の保安検査を通過するまでは、開けてはダメですよ!
機内持ち込み荷物の準備で『固形?液体?』と迷ったら
機内に持ち込みたいアイテムが、液体扱いになるのか微妙なケースも多いですよね。
そういうときには、すべて液体とみなしてパッキングするのが原則です。
これで、思ってもみなかったアイテムが没収されて、悲しい思いをすることもありません。
どんなものが液体として扱われる可能性があるのかを把握してルールを守れば、保安検査は簡単に通過できますよ!
外資系CAとして数え切れないほど保安検査を通過してきた、わたくし「柴田」が、液体の機内持ち込みについて、以下の3つに分けて説明していきます。