今や誰もがスマートフォンやタブレットをもつ時代。
海外旅行や出張に行くときに欠かせないアイテムですが、旅先でバッテリーが不足しないか心配という方も多いかと思います。
そこで便利なのが『モバイルバッテリー』です。いつでもどこでも自由にスマホやタブレットの充電ができるモバイルバッテリーは、旅行の持ち物として定番アイテムとなってきています。
でも「飛行機にモバイルバッテリーって持ち込めるの?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか?
ニュースでもよく話題になる「飛行機 モバイルバッテリー」というフレーズ。
実は、過去にモバイルバッテリーが機内で発火した航空事故も発生しており、モバイルバッテリーは航空会社にとって要注意なアイテムなのです。
「え?じゃあ飛行機にモバイルバッテリーは持ち込めないの?海外に持っていけないの?」と思った方。安心してください!
ちょっとしたルールを守れば、海外にもモバイルバッテリーを持っていくことができます!
今回は、元CAとして6年間乗務し、現在は海外在住の「あい」が
- モバイルバッテリーは飛行機に持ち込める?
- モバイルバッテリーを機内持ち込みするための容量制限やルールは?
といった、みなさんのモバイルバッテリーに関する疑問に、詳しくお応えします!
それでは一つずつ説明していきますね。
目次
モバイルバッテリー機内持ち込みの解説動画
モバイルバッテリーの飛行機への持ち込みについて解説した動画を、Asumiさんが解説してくれています(^^)
もちろん文章でも解説していますので、文章で確認したい方は、動画の下からご覧ください!
↓再生ボタンを押すと音が出ますので、音量にご注意くださいね!
モバイルバッテリーは機内持ち込みのみOK
結論からいうと、スマホやタブレットの充電ができるモバイルバッテリーは、飛行機への預け入れは禁止されていますが、機内持ち込みは可能です。
ですがモバイルバッテリーを機内持ち込みするには、いくつかの容量制限・ルールがあります。
その機内持ち込みのルールについて、次の章で詳しく説明していきますが、
「そもそもモバイルバッテリーって、どんなもの?」
「なんでモバイルバッテリーを飛行機に持ち込むと危険なの?」
と思う方もいらっしゃると思うので、まずはモバイルバッテリーの種類や危険性についてご説明しますね!
モバイルバッテリーの種類
一般的に使われているモバイルバッテリーは、大きく分けると以下の2種類があります。
- 乾電池を使うタイプ
- コンセントにつないでモバイルバッテリー本体を充電して使うタイプ
この2種類のモバイルバッテリー。
どちらも旅行や出張には便利ですが、それぞれ使われている電池が異なり、飛行機内に持ち込むには、制約や規定が変わってきます。
- 乾電池タイプ・・・乾電池、エネループを使う場合はニッケル水素電池
- 充電式タイプ・・・リチウムイオン電池
電池の種類 | 預け入れ | 機内持ち込み |
---|---|---|
乾電池 | ◯ | ◯ |
ニッケル水素電池 (エネループ) | ◯ | ◯ |
リチウムイオン電池 | × | ◯ ※制限あり |
この表を見ると、『乾電池タイプ』は預け入れも、機内持ち込みもできるので、海外旅行には便利?と思いがちですが・・・
1度の充電で、長時間使える『充電式タイプ』のモバイルバッテリーは、重さも軽く小さいので、海外旅行などの長旅にはかなり優秀なアイテムです!
実際に充電式タイプをお持ちの方も多いと思いますが、この充電式タイプのモバイルバッテリーに使われているリチウムイオン電池には、注意すべきポイントがあります。
このあとご説明しますね。
モバイルバッテリーは預け入れNGの理由
モバイルバッテリーを飛行機の預け入れ荷物に入れてはいけない理由は、リチウムイオン電池の危険性にあります。
もともとリチウムイオン電池は、衝撃や温度変化に弱く、発火・発煙・発熱などを引き起こしやすい特性があります。
スマホやPC本体のバッテリーとしても、多く使われているリチウムイオン電池ですが、発火事故など、年々トラブルが増加しているのも事実です。
飛行機でも、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池が原因の事故はいくつか発生しています。
2016年8月22日 スカイマーク機客室内で、モバイルバッテリーから煙が発生。離陸後まもなく、同機は緊急着陸をする事態となった。
2016年10月、米サウスウエスト航空の旅客機内でGalaxy Note7が発煙。乗客が避難する事態となった。爆発事故などのトラブルが続いたGalaxy Note7は、国土交通省の要請などにより、現在航空機への持ち込みが全面的に禁止されている。
「飛行機でモバイルバッテリーが発火するなんて、コワイ・・・」
「もし貨物室で発生した場合はどうなるの・・・?」
想像しただけでこわいですよね。
当然、貨物室には客室乗務員もいないので、事故の発見が遅れ、消火活動もすぐにはできません。
モバイルバッテリーが預け入れできない理由を、なんとなくでもお分かりいただけたでしょうか?
上記にあげた2つの航空事故以前から、国際民間航空機関(ICAO)は、相次ぐトラブルの状況を見かねて、2016年4月1日から「リチウムイオン電池の旅客機輸送を禁止する」方針を発表していました。
これは、国際線旅客機に搭載する「貨物」を対象にしたもので、みなさんが飛行機に持ち込む手荷物(預け入れも含む)を対象にしたものではないので、私たちが飛行機を利用するときに直接関係することではないです。
しかしリチウムイオン電池の危険性は、世界的に注目されており、各航空会社にとってリチウムイオン電池が要注意アイテムとなっていることは確かです。
またリチウムイオン電池に関する飛行機での規定は、ICAOの規定や国土交通省によって随時変更されています。みなさんが利用する航空会社のHPを見て、最新の情報をチェックすることをおすすめします!
モバイルバッテリーの容量制限
充電式のモバイルバッテリーは、リチウムイオン電池内蔵されているので、機内持ち込み制限があります。
各航空会社によって規定が違う場合もあるため、事前に確認する必要があります。
国内線と国際線にわけて、モバイルバッテリーの機内持ち込み容量の制限を確認していきましょう。
国内線の飛行機にモバイルバッテリーを持ち込む場合
国内線の飛行機に、モバイルバッテリーを機内持ち込みする際の容量制限は、以下のとおりです。
100Wh未満 (27,027mAh未満) | 100〜160Wh (27,027〜43,243mAh) |
|
日本航空(JAL) 全日本空輸(ANA) ソラシドエア スターフライヤー AIRDO バニラエア ピーチ スカイマーク ジェットスター | ◯ | ◯ ※最大2個まで |
国内線ではモバイルバッテリーの容量が160Wh未満(=43,243mAh未満)であれば、機内持ち込みできます。
しかし100〜160Wh(=27,027〜43,243mAh)の場合は「2個」までと、持ち込み制限がありますのでご注意ください。
また容量が160Wh(=43,243mAh)を超えるモバイルバッテリーは、機内持ち込みも預け入れも禁止されています。
国際線の飛行機にモバイルバッテリーを持ち込む場合
国際線の飛行機に、モバイルバッテリーを機内持ち込みする場合も、日本国内と同じ規定の航空会社が多いです。
しかし国や航空会社で、モバイルバッテリーの機内持ち込みに関する規定が異なる場合もありますので、事前に確認しましょう!
※ANAやJALなど日本の航空会社は国内線と同様の容量制限です。上の表をご確認ください。
航空会社 | 100Wh未満 | 100Wh~160Wh未満 | 160Wh以上 |
---|---|---|---|
チャイナエアライン | ◯ ※航空会社の許可が必要 | ◯ ※2個まで ※航空会社の許可が必要 | × |
大韓航空 | ◯ | ◯ ※2個まで (全部で5個まで) | × |
エアアジア | ◯ ※2個まで | × | |
ジェットスター | ◯ | ◯ ※2個まで | × |
シンガポール航空 エアカナダ | ◯ ※20個まで | ◯ ※2個まで | × |
アメリカン航空 | ◯ | ◯ ※2個まで | ※サポートへ要問い合わせ |
ユナイテッド航空 デルタ航空 | ◯ | ◯ ※2個まで | × |
ハワイアン航空 | ◯ | ◯ ※2個まで | × |
エールフランス航空 KLMオランダ航空 | ◯ | ◯ ※2個まで ※事前に航空会社の許可が必要 | × |
※同じ航空会社でも、発着する国によって容量制限や規定が違う場合がありますので、事前に航空会社のHPでご確認ください。
ちなみに中国の空港では、航空会社にかかわらず、100Whを超えるモバイルバッテリーの機内持ち込みは禁止されています。
また100Wh以下でも、モバイルバッテリー本体に「100Wh以下」と記載されていない場合、没収されることが多々あるようですので、中国の空港を利用される場合はとくにご注意ください。
「Wh」の計算方法
ちなみに今から書く「Wh」の計算式は、まったく覚える必要はありません(笑)
ですので知りたい方のみ、下のオレンジの部分をタップしてみてください。
モバイルバッテリー本体に、リチウムイオン電池の容量「Wh(ワットアワー)」の記載がない場合、あらかじめ容量を把握しておきましょう。
計算式は「ワット時定格量(Wh)=定格定量(Ah)× 定格電圧(V)」で表すことができます。
一般的なリチウムイオン電池1個の電圧は「平均で3.7V」とのことですので、モバイルバッテリー本体に書かれている「Ah」(「mAh」表示の場合は÷1000)の数に、3.7をかければでてきます。
つまり「Wh = 3.7V × mAh ÷ 1000」という計算式となります。
む、むずかしい・・・(^^;)
大丈夫です!
私も正直なところ、チンプンカンプンです(笑)
計算なんて面倒!という方は、モバイルバッテリーの機内持ち込み容量制限でキーワードとなってくる「100Wh」と「160Wh」の定格容量がどのくらいなのかだけ、抑えておきましょう!
- 100Wh=27027mAh
- 160Wh=43243mAh
2023年1月現在、市販されているモバイルバッテリーは、26800mAh以下が多いので大丈夫だと思いますが、自分の持っているモバイルバッテリーが容量を超えていないか、持ち込む個数は問題ないかを、旅行前に確認することをおすすめします!
海外旅行におすすめのモバイルバッテリー
ここでは上記の内容を加味して、海外旅行に持っていくのにオススメのモバイルバッテリーをご紹介します!
以下の点を加味して、「これを持っていけば、なんの不自由もないだろう!」というものを選びました♪
- 手荷物に入れることになるので、重くないもの
- 海外旅行から帰ってきても使えるもの
- 忙しい旅行中でも問題ない、充電速度が早いもの
- 信頼できるメーカーのモバイルバッテリーであること
Anker PowerCore 10000【USBタイプ】
こちらはモバイルバッテリー業界では、No.1の知名度を誇るメーカー『Anker(アンカー)』さんの、10000mAhのモバイルバッテリーです。
大きさはスマホサイズなので、ポケットにも入れやすいですし、重さも約180gとかなり軽いにも関わらず、iPhone11だと約2回はフル充電ができます!
またAnkerさんの独自技術の『PowerIQ』と『VoltageBoost』という急速充電に対応したモバイルバッテリーです。時間を有効活用したい海外旅行では、嬉しい機能です♪
cheero Power Plus 3 13400mAh【USBタイプ】
こちらもモバイルバッテリーならこのメーカー!という方も多い、『cheero(チーロ)』さんのモバイルバッテリーです。
先ほどご紹介させていただいた『Anker(アンカー)』さんのモバイルバッテリーよりも、容量が大きいですが、価格はこちらの方が安いので、コスパ重視の方にはいいですね(^^)
2デバイスを同時に充電でき、出力も最大3.4Aなので、先ほどのアンカーの製品よりも早く充電を完了することができます。
ただサイズと重量(245g)は、こちらの方が少し大きいので、その点も考慮しましょう!
レビューからもわかる通り、信頼できるメーカー・商品です。
Anker PowerCore Speed 20100【USBタイプ】
こちらもAnker(アンカー)さんで、大容量の20100mAhのモバイルバッテリーです。
こちらはiPhone11 Proだと約4回以上、フル充電ができます!
またこちらはQuick Charge 3.0(最大出力24W)にも対応していますので、充電の速度もモバイルバッテリーの中ではトップクラスです♪
充電器付属タイプのモバイルバッテリー
こちらのモデルは上の2つとは違い、充電器がついたモデルですので、海外旅行先のホテルでモバイルバッテリーを充電することも簡単にできます。
また、ノートパソコンなどへの充電でも使われるUSB-Cケーブルで充電もできますし、USBハブにもなったりする優れモノ!旅行先でパソコンを使用する方におすすめです!
3ポートありますので、3デバイス充電できるのもいいですよね!
重さも約568gと、500mlのペットボトルよりも少しだけ重いくらいですので、女性の方でも持ち歩くのに苦にならない重さだと思います(^^)
モバイルバッテリーを預け入れ手荷物として、預けてしまったらどうなるの?
モバイルバッテリーを誤って、預け入れ手荷物として預けてしまった場合、日本のほとんどの空港では、その後の荷物検査で発覚し、搭乗口で呼び出され、係員立ち合いのもと検査を行います。
その場では、私たちは荷物に触れることができないので、係員に荷物を開けられ、とても恥ずかしい目にあいます。
その荷物検査で、モバイルバッテリーが機内持ち込みOKの容量であれば、モバイルバッテリーは手元に戻り、機内持ち込み荷物として飛行機に持っていくことができます。
(容量オーバーの場合は廃棄されますのでご注意を!)
国によっては、立ち合い検査をすることもなく、勝手にスーツケースを開けられて没収されることもあるので、モバイルバッテリーは誤って預け入れ荷物にいれないよう、十分注意をしましょう!
残念ながら海外では、スーツケースが開けられて、物が盗られるケースもあるので、出来るだけスーツケースを開ける口実をつくらないという意味でも重要ですね。
まとめ
旅先でスマホやタブレットの充電対策に、いつでもどこでも自由に充電できる「モバイルバッテリー」は、今やすっかり旅行に欠かせないアイテムとなりました。
ですがモバイルバッテリーに使われる、リチウムイオン電池の危険な特性があることも忘れてはいけません。
飛行機に乗る際、モバイルバッテリーは、
- 機内持ち込みをする
- 容量制限を守る
この2つを守り、楽しく快適な旅をお楽しみください!
モバイルバッテリーは、電子機器本体から離れている『予備電池』としての取り扱いとなります。各航空会社のHPなどで確認される際は、危険物の表にある『予備電池』の欄をチェックしてくださいね!